学習

アクチュアリー数学の公式チェックシート

2024年12月11日

アクチュアリー数学で必要な公式を過去問をベースに総整理しました。なお公式は『アクチュアリー試験 合格へのストラテジー 数学 第2版』を元にしております。本書はアクチュアリー数学受験のバイブルで受験者は必携の書です。

各章では分野ごとに最もベストな教材を紹介しております。

アクチュアリー数学:確率分野

組み合わせの関連公式

まずは組み合わせ関連の公式を一気に解説します。

Cの公式

上の公式の大統領問題を一般化させると次のPとCのコンボの公式が導かれます。

大統領問題の一般化

次にホッケースティック恒等式を導出します。

ホッケースティック恒等式の証明

アクチュアリー数学の参考書に証明までは載っていませんでしたが追記しました。数式だと抽象的ですが、パスカルの三角形を持ち出すと単純なお話になり、外側のラインから対角線に下ろした数字(二項係数)を止まるまで全て足して、止まった箇所の右下が和に相当しているということです。

過去問を解く際に以下のヴァンデルモンドの恒等式も知っておくべきだと思い追記します。

ヴァンデルモンドの恒等式

負の二項定理

次は負の二項定理で序盤の難所です

負の二項定理

個人的に負の二項分布は覚えにくく体系立てて整理してみました。ご覧ください。

一般化二項定理からの負の二項定理(と導き出される負の二項分布)

積分公式

積分公式など

離散型確率分布

第1章
二項分布、ポアソン分布
ポアソン分布のn次キュムラントがλの証明
負の二項分布、ファーストサクセス分布

ファーストサクセス分布と離散一様分布はやや似ています。n個のものから当たりの1つを当てるまでの試行回数をk回とするとき、前者は復元抽出で、後者は非復元抽出で行うときの試行回数kが従う分布となります。

幾何分布とファーストサクセス分布の期待値とX(X-1)の期待値と分散の比較
超幾何分布
超幾何分布と二項分布の関係
二項分布と負の二項分布とポアソン分布と超幾何分布の期待値とX(X-1)の期待値の比較

連続型確率分布

第2章
指数分布
ガンマ分布

積率母関数はベタベータのαと覚えます。

ガンマ分布の変換公式(スケール変換)の証明

ガンマ分布のキュムラントの導出を行なっておきます。マクローリン展開がポイントです。

ガンマ分布のキュムラントの導出(マクローリン展開との関係にも注目)
標準正規分布、正規分布、対数正規分布

標準正規分布表を用いて偏差値について大体の数値がわかります。
X=50+10Z(Z~N(0,1))のとき偏差値Xがa以上の確率は順に、
65→7%,70→2%,75→0.6%,80→0.1%,90→0.003%,100→3・10^(-7)%です。

ベータ分布、ディリクレ分布
n次元単位球の体積など
F分布、t分布

アクチュアリー数学では公式としてこれを覚えていないといけないのでF分布の分散の覚え方を教えます。というかGeminiさんがなかなかのインパクトのある覚え方を教えてくれました。

コーシー分布

コーシー分布では期待値が存在しないため中心極限定理の利用はできませんが、2つのパラメータに関して再生性は持ちます。さらに特異的な性質として標準コーシー分布の独立なn個の標本における標本平均も標準コーシー分布に従います

コーシー分布の特性関数と再生性

また標準コーシー分布の絶対値を利用してバーゼル問題を解くことができます。

バーゼル問題

またコーシー分布はルーレット問題とも関わりがあります。

標準コーシー分布とルーレット問題

次はベータ分布関連です。

ベータ分布とF分布の関係式
二項分布→負の2二項分布→標準一様分布(順序統計量)→ベータ分布→F分布の関係性

しっぽ定理と高次モーメント

第3章
テイル確率

テイル確率には一般化が存在します。

離散型のテイル確率の一般化
離散型テイル確率の一般化の証明
連続型のテイル確率の一般化
連続型のテイル確率の一般化の証明
高次モーメント

条件付き確率と多項分布

第4章
乗法定理の一般形
複合分布、混合分布、条件付き分布

3つの性質の証明は次のようになります。

混合分布の性質の証明

全期待値の公式は上で証明済みなので、全分散公式を証明しておきます。

全分散公式の証明

次に上の3つの例を証明します。最後の負の二項分布の問題は結論ありきの証明のため難易度が高いのです。

ポアソン分布が絡む混合分布
二項分布が絡む混合分布
負の二項分布が絡む混合分布

多項分布関連の公式の証明を載せます。

積率母関数の第二次導関数から導かれる結果(多項分布のおまけ公式)

確率の有名問題

第5章
漸化式の有名公式
撹乱順列

ポーカーの問題の解き方もまとめておきます。

各役の確率

さらに次の一様分布に関係のあるBuffonの針の問題にも要注目です。

Buffonの針

一様分布

第6章
一様分布
一様分布と離散一様分布の期待値と分散の比較
3つの和のパターンの別解(大学受験的)

変数変換

第7章
変数変換

ただし一様分布系の問題は次のように考えるとスムーズになる場合が多いです。

分布関数を経由する方法(最後の商だけは2つの分布は独立な標準正規分布です)

中心極限定理と多変量正規分布

第8章

誤差の問題は、中央値から幅の半分を両端に持つ一様分布を考えます。

多変量正規分布について頻出度は低いですが念のためまとめます。

多変量正規分布の確率密度関数
多変量正規分布の積率母関数
多変量正規分布の変数変換
多変量正規分布のブロック化
無相関に対応する行列
対称性を用いた結果

アクチュアリー数学:統計分野

順序統計量とベータ分布

第9章
順序統計量
一様分布とベータ分布の関連の証明(範囲の分布も含む)
最小統計量の有名性質の証明

上の公式において指数分布の箇所を隣り合うを考えたものは次になります。

指数分布の順序統計量の公式(応用版)

点推定

第10章
点推定で用いる公式

イェンセンの不等式は下記になります。この不等式は純粋数学でも多用されます。例えば確率関数をP(X=k)=1/n(k=1,…,n)とおき、g(x)=-log(x)とおきイェンセンの不等式を適用するとn変数の相加相乗不等式が得られます。

イェンセンの不等式
一様分布

区間推定

第11章
正規母集団の分散の信頼区間
等分散検定
プールされた分散
ウェルチの検定
z変換など
指数母集団
ポアソン母集団の近似法
精密法(ポアソン母集団)ポアソン精密信頼区間
精密法(二項母集団)クロッパー・ピアソンの信頼区間

統計的検定

第12章
カイ2乗検定

イェーツの補正を行うとカイ2乗統計量の値を小さくすることになり、棄却されにくくなるわけです。

尤度比検定

第13章
尤度比検定

有限母集団

第14章
有限母集団
有限母集団の公式の証明
変動係数
比例抽出法、層別抽出法

層別抽出法に関する証明も行っておきます。

層別抽出法の公式の証明

またQC検定1級の範囲になってしまいますが、関連公式として2段抽出法の公式もあります

2段抽出法

無限母集団の場合は、MとNを無限にすればOKです。また、M=mの場合は層別サンプリングで、N=nの場合は集落サンプリングとなります。

標本分布論

第15章

アクチュアリー数学:モデリング分野

回帰分析

第16章
線形回帰
非線形回帰
推定量の従う分布

時系列解析

第17章
定常
標本自己共分散、標本自己相関
特性方程式
AR(1)
AR(2)
偏自己相関
MA(2)
MA(∞)
ARMA(1,1)

覚えようとしましたが、結局覚えにくい式ですので、素直に導いた方が安全です。

確率過程

第18章
確率過程

シミュレーション

第19章
逆関数法
正規乱数
棄却法
合成法
分散減少法

アクチュアリー数学で必要な公式を過去問をベースに総整理しましたがいかがでしたでしょうか。なお公式は『アクチュアリー試験 合格へのストラテジー 数学 第2版』を元にしております。本書はアクチュアリー数学受験のバイブルで受験者は必携の書です。

試験直前に見直して合格を目指しましょう!

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志田龍太郎

東京大学修士→30代セミFIRE元数学教諭(麻布高など指導)/アクチュアリー数学,統計検定1級(2025年に再挑戦)/数検1級→高3・漢検1級→教諭時代に合格/ブログ+SNS運営/AmazonAssociates連携

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