統計検定1級で出題される実験計画法の内容は多岐に渡ります。特に理工学を選ぶ方に対して、応答局面法までを基本的な内容から徹底して学習していきます。この記事は学習過程に応じて更新していきます。使用する本は下記の2冊になります。基本的にはこの順番で使用します。
実験計画法
処理の選定
制御因子(実験の場、適用の場ともに水準が選択できます)、標示因子(実験の場では水準選択できますが、適用の場では水準が選択できません)、環境因子(実験の場、適用の場ともに水準が選択できません)、ブロック因子(局所管理のために導入され、水準の意味を持ちません)
要因実験とは、多元配置のうち取り上げた因子の水準組み合わせをすべて実施するものです。反対が一部実施要因実験です。これには主効果のみを評価するラテン方格法と、主効果と低次の交互作用を評価するための直交表実験があります。

この見方は例えば右の図を見ると大文字の4つのアルファベッドが因子Aの4水準を、小文字のギリシャ文字が因子Bの4水準を表すと考えます。左の表(右でも良いですが)4つの行は因子Rの4水準を表し、4つの列は因子Cの4水準を表すと考えます。
実験の配置
フィッシャーの3原則は、反復(誤差推定、誤差減少)、無作為化(系統誤差を偶然誤差に転換)、局所管理(大きな系統誤差の除去)です。

乱塊法において、例えば1つのブロックの中でn個の要素を組み合わせる場合が、n元配置乱塊法といいます。以下の例は2元配置乱塊法です。

一元配置実験の解析
一元配置完全無作為化法


平均平方の期待値について考えます。これは流れとしては平方和の期待値を求めてそれを自由度で割れば良いため、本質的には平方和の期待値を考える問題となります。

アンバランストなデータの解析ではnが各水準の繰り返し数n_iに変化しますが、それだけです。例えば平均平方の期待値はnがn_iに変化するだけです。

一元配置乱塊法

一元配置乱塊法は交互作用がない2元配置と似た構造です。


平方和の期待値について複雑になればなるほど次の定理を用いることが増えます。

それでは計算が省かれている2つの平方和と因子Aの平方和について示しておきます。

自由度につきましては、因子Aの自由度がa-1でブロック因子Rの自由度がr-1なので、それを全体の自由度ar-1から引けば誤差因子の自由度が求まります。
処理平均の多重比較法
多重比較法の考え方
多重比較とは1組の実験データに対して複数回の比較を行うことです。検定を複数回行うので多重検定ともいわれます。


処理平均の分散分析モデルについて下記の流れでt検定をします。分散の推定量は分散分析表の残差平方和を残差自由度で割った平均平方のことです。


多重比較における過誤率
m個の帰無仮説の集合を帰無仮説ファミリーといいます。対して検定のファミリーという言葉もあります。添字1〜mの中の部分集合Vを考え、Vに含まれる添字を持つ帰無仮説のみが成り立っている状況を部分帰無仮説といいます。

特にVが1〜mのときに帰無仮説ファミリーがすべて成立している場合を完全帰無仮説といいます。


これらの表記を用いてファミリー単位過誤率を次のように定義します。

個別の帰無仮説ごとに第一種過誤の確率を考えたものを比較単位過誤率といいます。

検定の多重性とは個々の検定の過誤率がα以下でも多数の検定を行うと、そのどれかで過誤をおかしてしまう確率(ファミリー単位過誤率)はαより大きくなってしまうことです。
対比較
まずはLSD法です。以下の流れで2つの処理平均の差の絶対値を比べます。


このときに2つの処理には有意差ありと判定します。

このように並べて両側の2つから比較を進めていき、ある2つが有意差なしと判定されればそれ以降は比較を継続する必要はありません。
次にTukey(テューキー法)を考えます。これはLSD法よりも厳しい判定基準値を考えます。

この値は処理の数aが増えれば値は大きくなり判定が厳しくなります。

このときに有意差ありと判定します。
最後にREGWQ法を考えます。a-1個の判定基準値を用います。

また各Rは次を満たします。

LSD法と同じように比較を行います。


途中で有意差なしと判定されれば以降は有意差なしとなります。
さらに類似の手法でSNK法があります。計算手順はREGWQ法と同様です。

またDuncan(ダンカン)法も同様の手法です。

次に繰り返し数nがアンバランストなモデルを考えます
このときにσ^/√n の部分を下記に変更すればOKです。

対照処理との比較
Dunnett法を考えます。まずはファミリー単位過誤率を制御する方法です。

次に比較単位過誤率を制御する方法です。

比較の検定

まず対比のt検定を考えます。

このときに帰無仮説を棄却します。
次にシェフェ法を考えます。これはすべての対比を考えたときの帰無仮説のファミリー式に対してファミリー単位過誤率をα以下に保障する方法です。

このときに帰無仮説を棄却します。
二元配置実験の解析
二元配置完全無作為化法


それでは平均平方の期待値を求めます。

二元配置乱塊法


平均平方の期待値について下記以外は先ほどの2元配置の内容と等しくなります。形式的には下記以外は繰り返し数nがブロック数rに変化しただけです。

それでは上式を証明しておきます。

繰返しのない二元配置
ここでは完全無作為化法でn=1の場合、乱塊法で1つのブロックだけ(r=1)で実施する場合に相当する考え方です。


| 論点 | 繰り返しのない二元配置 | 一元配置乱塊法 |
| データの並び方(外見) | 縦・横のクロス表(表4.11など)になり、構造は非常によく似ている。 | 縦・横のクロス表(表2.9など)になり、構造は非常によく似ている。 |
| 興味の対象(調べたい因子) | 2つの因子(要因A・要因Bの両方とも興味がある)。 | 1つの因子のみ(ブロック因子には興味がない)。 |
| 2つ目の因子の役割 | 目的のメイン効果の1つ。水準間の違いを比較することに意味がある。 | 実験誤差(系統誤差)を取り除くために導入した「ブロック因子」。水準間の比較には意味がない。 |
| 無作為化(実験の割り付け) | 実験全体を完全にランダムに配置する。 | まずブロック(均質な塊)を構成し、ブロック内で処理をランダムに配置する。 |

それでは平均平方の期待値を求めてみましょう。

分割実験法
分割実験の特徴

その他、完全無作為化法における分割法は下記のような例です。

二段分割法は、3元配置以上の実験で、2次単位をさらに分割して3次単位を作成し、3番目の因子の水準をランダムに配置する実験計画のことです。

分割法の利点は1次因子の水準の変更が容易であり、2次因子の効果(交互作用も含めて)の検出力が高いことです(2次誤差の方が一般に1次誤差より小さいことと、2次誤差の自由度が大きいことによります)
分割法の弱点は1次因子の効果の検出力が低いことです(1次誤差の影響と自由度が小さいことによります)
分割法実験の解析


まず今までと違って複雑さが増しているので、平方和の分解からしっかりと調べます。特に2次誤差の平方和の式が複雑ですので全体から引く考えで考えました。

以後、混乱が生じないように、今まで用いてきた平方和の期待値に関する公式を証明しておきます。

平均平方の期待値を求めます。注意点として今までの計算ではそのままσ^2を用いていました。しかし厳密にはデータの分散を用いています。また下記の式でも注意していますが、1次単位と2次単位の計算では2次単位の計算で共分散を考える必要が出てきます。

2水準系直交表による実験計画
例えば16回の実験では自由度は15です。これは4人が4つのベッドに寝転ぶことをイメージすれば自由度は3だとわかることに類似します。実験データが16個あるときに平均値が最初に計算されるので必ず最後の16個目は固定されてしまいます。そのため自由度は15です。行は実験を表し、列は因子の割り振りを表します。余った列を誤差列としますが多い方が検出がしやすいです。
直交表実験の考え方

直交表の考え方とL_4(8)直交表



直交表のアイデアは高次の交互作用の部分から誤差分散を推定でき、新たな因子を割り当てることができるということです。
主効果や交互作用についての平方和について考えます。後にトップダウンの考えにて表し方について考察をします。

L_8(2^7)直交表


それでは各主効果や交互作用について考えます。平方和については、これも先ほどと同様に(効果の推定値の分子)^2/データ総数です。

お気づきだと思いますが、例えばPの主効果はpの添字を含む項には+、含まない項をーにします。他の主効果についても同様です。交互作用については例えばN×Pの交互作用は、nとpの両方の添字を含む項、どちらも含まない項を+、どちらか一方を含む項をーにします。3つの交互作用の時は、nとpとkの添字について奇数個を含む項を+、偶数個を含む項にーをつけます。
交互作用効果の求め方にはコツが入ります。表6.5の+とーを見ましょう。以下のように考えれば先ほどの(理論的に考えた)計算を機械的に処理することができます。


直交表は主効果や交互作用を出すためのカンペのようなものですね笑
2水準系直交表の特徴
それではL_N(2^(N-1))へと一般化します。Nは実験単位の総数です。2は各因子の水準数が2であることを表します。つまり主効果や交互作用の自由度は1です。N-1は自由度の合計がN-1を意味し、それぞれ自由度1を持つN-1列が存在します。
因子の割付け
L_16(2^15)直交表への因子の割付け

5因子の1/2実施
5因子の1/2実施とは16回の実験を行うときに、全ての実験回数を行うと理論上は32通りであるのでその半分を実施しようという考えです。16個しかない部屋で5因子を扱うと、どこかで必ず交絡が起きてしまいます。しかし3次以上の高次の交互作用はほぼ0と考えることでその交らくを回避しています。なぜ第5因子Eの主効果を15列目に割り振るか?はABCDE=1という定義対比を定めるとき、成分であるABCD=ABCD×1=ABCD×ABCDE=E(なぜなら2乗したら1より)となるためです。

主効果つまり点の部分はラストの15以外は2の冪乗です。交互作用のところは頂点同士の足し算のように見えますが、実際は「直交表の列番号の計算は、10進数ではなく「2の冪乗(1, 2, 4, 8)に分解して、ダブった数字を消す」というルール(排他的論理和)」で動いています。しかし通常はこのような線点図は問題文で与えられています。
第1水準と第2水準の選び方は好ましいと思われる方を第1水準とすべきです。
7因子の線点図は6因子に対しても適用できます。
6因子の1/4実施
5因子1/2実施で1=ABCDEと定義対比を導入していますが、6番目の因子Fを導入するために実験規模をさらに1/2にしています。これにより線点図によりF=CDとしているので両辺にFをかけて1=CDFという新たな定義対比が出現します。例えばこれよりC=FDなどの交絡関係が現れます。このように定義対比が3つの因子から構成されると主効果と2因子交互作用が交絡します。このような割付けをレゾリューションⅢ(分解能Ⅲ)の割付けといいます。
定義対比が常に4つ以上の因子を含むようにすれば、主効果は2因子交互作用と交絡しません。しかし主効果は3因子以上の交互作用と交絡します。また2因子交互作用同士交絡します。このような方法をレゾリューションⅣの割付けといいます。分解能がAとは、いくつかの定義対比で最小の掛け合わされている数がA個という意味です。
つまり6因子1/4実験では少なくとも分解能Ⅲと分解能Ⅳ(これらは一部のみ)線点図が使えない時です)による2通りの割付けがあるということです

例えば統計検定1級では次のような問題が想定されます。


ちなみにこの図のF=CDなどは2進数の足し算では1100=0100+1000で成立しています。両辺にFを足すと0000=0000になるということです。
ブロック因子の導入と分割法
次にブロック因子を導入します。「同じ環境」で16回すべてをやり切れるとは限りません。「1日に実験できるのは8回が限界なので、どうしても2日間に分けて実験しなければならない」という制約が生まれたとします。「1日目と2日目で、天気が変わって室温や湿度が変わっちゃうかも……」
「もし2日目のデータが全体的に高く出ちゃったら、それは『因子の効果』なのか、それとも『単に2日目の環境のせい(日差)』なのか区別できなくなるのでは?」というリスクが生じます。このように、実験データに勝手に混ざり込んでくる「実験日による環境の差」のことを系統誤差(日差)と呼びます。 この日差の影響を、計算上で綺麗に「引き算」して取り除くために導入するのが「ブロック因子(このテキストでは因子 R や F)」です。
ブロック因子と他の因子の交互作用が、他の主効果と交絡したら大変です!
例えば上の分解能ⅢでF=CDについてFを実験日という意味に変えると、この列のデータが動いたときに、実験日のせいか、CDの交互作用のせいか見分けがつきません。そのためブロック因子を使う際は分解能Ⅳを用いることが大切です。上の図の列12の因子Fの1と2の並びを、そのまま1日目の実験、2日目の実験としてスケジュール帳として用いるのも良いです。

それでは分解能Ⅳはそのままに、ここでは「現場で実験する人が、絶対にスケジュールを間違えないようにするための、超現実的な直交表のリフォーム(並び替え)」について考えます。例えばブロック因子を第12列にした場合、1, 2, 2, 1, 2, 1, 1, 2, 2, 1, 1, 2, 1, 2, 2, 1という並びなので実験番号と、1日目や2日目を見間違える可能性があります。このように、並びがバラバラだと現場が混乱します。 一番ありがたいスケジュール帳は、「No.1〜8は1日目!No.9〜16は2日目!」と、前半・後半できれいに分かれていることです。このような列は第1列です。つまり、「現場が混乱しないように、一番シンプルな第1列を『実験日(ブロック因子R)』という特等席に指定し直そう。その代わり、他の因子(A 〜 E)の座る席をパズルみたいに再配置(リフォーム)しよう」という提案は素晴らしいと思います。
それでは配置の方法を教えてください!
まずはブロック因子Rを第1列に配置します。残りの基本列にA、B、Cをそれぞれ2、4、8列に配置します。問題はDとEをどこに配置するか?です。まずは以前の分解能ⅣによりEがE=ABCつまり成分で(変更後の)bcdの箇所である第14列に決定して配置します。1=ACDRという定義対比(これらは統計検定1級でも問題文に与えられ自力で出させることはないと考えます)を考えてDが第11列だと決定します。
今回の乱塊法でRを第1列に配置したので本来の場所からA、B、Cなどがずれています。ずれた先の座標を使いますので要注意です
次に分割法を考えます。例では1次因子がR ,A,Bでこれらは面倒な大枠のイメージです。2次因子はC D,Eでこれはお手軽な小枠のイメージです。
| 群の名前 | 該当する列 | 1 と 2 の変わり方の特徴 | 現場のイメージ |
| 1群 | 第(1)列 | 1 が8個続いたあと、2 が8個続く | 1日目と2日目の大枠(ブロック R) |
| 2群 | 第(2)〜(3)列 | 1 が4個、2 が4個ずつで入れ替わる | 1日の中で午前と午後の大枠 |
| 3群 | 第(4)〜(7)列 | 1 が2個、2 が2個ずつで入れ替わる | もう少し細かい時間帯 |
| 4群 | 第(8)〜(15)列 | 1 と 2 が1回ごとに激しく入れ替わる | 1回ごとに変えられるお手軽な条件 |
そっか! めんどくさい大がかりな因子(1次因子 A, B)は、入れ替わりがマイルドな『2群や3群』に座らせれば良いのですね!
そうです。逆に、簡単に変えられる 2次因子(C, D, E)は、1回ごとに激しく入れ替わる「4群」に座らせます。


作業をサボった(大枠でまとめた)代償として、データ分析のときの誤差を2種類に分けないといけなくなります

例えばDとEの交互作用は第5列(第3群)に現れます。2次因子であるDとEは細かい枠に配置したのに、交互作用になると第3群(1次誤差の部屋)に勝手に転がり込んでしまいます。つまりDとEの交互作用が本当にあるかのチェック(F検定)をする際は第4群の小さいノイズでなく、第3群の大きいノイズ(1次誤差)を基準にして判断しないといけません。
| 群の名前 | 該当する列 | 割り付けられている因子 | 検定に使う誤差の部屋 |
| 1群 | 第(1)列 | ブロック因子 R(実験日) | (検定しない / 1次誤差の仲間) |
| 2群 | 第(2)〜(3)列 | 1次因子 A と、交互作用 AB などの部屋 | 1次誤差 で検定する |
| 3群 | 第(4)〜(7)列 | 1次因子 B と、交互作用 DE などの部屋 | 1次誤差 で検定する |
| 4群 | 第(8)〜(15)列 | 2次因子 C, D, E などの部屋 | 2次誤差 で検定する |
これまでの内容を参考に、乱塊法や分割法などを行う際の直交表における因子の割り振りについて整理します。テキストでは5ステップで紹介されています





4水準因子の割付け
次に4水準因子の割付を行います。2水準しか扱えるない直交表に無理やり4つの選択肢(4水準)を実験する魔法を考える感じです。ここで擬因子を用います。


このように、2水準のスイッチを2つ(2列)用意すれば、それらの組み合わせで 4つの状態(4水準)を完璧に表現できる ようになります。この X と Y のことを「擬因子」と呼びます。
ここでなぜXとYの交互作用Zも巻き込まれるのかを考えます。4水準があるとき自由度は4−1=3です。つまり4水準の因子Aの効果を計測するには、直交表の列が3列分必要になります。2列分はXとYを使っており、残り1列がXとYの交互作用の列Zになります。そして別の2水準因子B(自由度1)との交互作用A×Bを考える際は、以下のように考えます。

このように3つの列をすべて足し合わせて(自由度3として)評価する必要があります。
擬水準の内容をまとめてください!

2水準直交表データの解析
直交表のデータ分析(分散分析)が、普通の分散分析に比べてどれだけ引き算・足し算がラクで美しいかということを本テキストでは解説しています。

どの列も水準数は2より平方和の自由度は各列で1です。つまり総平方和の自由度はN-1となります。要因効果は主効果や交互作用もすべて1列分で用いるので自由度はすべて1であることに注意します。自由度の観点では以下のようになります。

分割法の自由度の理解が難しいので詳しくまとめます。


3水準直交表による実験計画
3水準系直交表の構成

L_9(3^4)直交表
2水準系直交表では2つの水準を1と−1で表しました。それはx^2=1の解であるためです。そのため3水準系直交表ではωを用いていきます。ωをベクトルの中に並べることで3水準のデータを複素空間における直交ベクトルとして扱えるようになります。

複素ベクトルの内積は片方のベクトルのエルミート共役を掛け算します。例えば第1列と第2列の内積を取ると確かに0になります。また例えば列1の値の合計は0になります。これも2水準系の直交表と同様です。
主効果と交互作用

この表は直交表を左から右へ埋めていった表になります。


ここで第3行のデータ変動が交互作用が交互作用の成分だけで引き起こされていることを確認します。


これらを合計すればAやBの主効果の影響を受けていないことが確認できます。
なぜ第3列以外で第4列にも交互作用を割り振るのですか?
交互作用は3×3=9個の成分がありますが、縦横の和が0の制約があるので自由度(自由に動ける次元)は2×2=4です。第3列が持っている自由度は3−1=2なので、もう一つの列が必要になるのです。つまり交互作用の平方和は交互作用で用いた列のすべての平方和になります。

3水準系直交表の特徴
まずは3水準系ではωをベースとしているので、同じ列名を3乗すると消えて1になるというルールが鉄則です。
2乗しても本質的に同じ列になります。つまりa^2になったらaとみなすといった感じです。

例えば上の表を参考にすると、2乗しても第2水準と第3水準の番号が入れ替わっているだけになりますが、水準をまとめて入れ替えても、その列から計算される平方和は同じになります。つまり分散分析では影響しませんが、最適水準の選定では問題になります。


実際に統計検定1級統計応用理工学で出題されそうな問題を考えます。



因子 C と D の交互作用 C × D は、第1列と第2列にすっぽり混ざり込んで(交絡して)出てくるという結論になります。
因子の割付け

3因子の1回実施
このとき処理組み合わせは3^3=27通りですべての組み合わせを1回実施できます。このとき主効果と2因子交互作用は交絡しません。
4因子の1/3実施
このとき全部で3^4=81回の実験が必要ですので、27回の実験にするためには1/3倍の実施にする必要があります。

この三角形の図をもとに因子A,B,C,Dをそれぞれ第1,2,5,9列に割り振ります。これでDが第9列になったことで成分がabcなため、D=ABCという定義対比を行います。3水準で考えているので両辺にD^2をかけて1=ABC・D^2になります。それと同時に、1=A^2B^2C^2Dという式も成り立つことに要注意です。この定義対比を用いるとエイリアス(混同つまり交絡)がわかります。例えば第9列はDの主効果ですが、ここにはD=ABCになります。更に1=ABCD^2において、D^2=ABC(D^2)^2=ABCDになり両辺を2乗してD=A^2B^2C^2D^2になり右辺を2乗してABCDになります。更に、1=A^2B^2C^2Dに対してD^2を掛けてD^2=A^2B^2C^2D^3よりD^2=A^2B^2C^2になり、両辺を2乗してD=ABCとやはり戻ってしまいます。
つまり4因子1/3実施においてDの列と交絡するのは3因子交互作用ABCのみになりますが、それは無視できるのでDの主効果が測定できることになります。
5因子の1/9実施
まず1/9という数字は3^3を3^5で割ると出現します。ここでは先ほどの4因子計画の空いている列(第10列)にブロック因子Rを割り振っています。つまりR=A^2BCという定義対比が出てきますので変形して1=A^2BCR^2となります。また今回は乱塊法なので割付けを大幅にシャッフルします。

主効果Dの配置は難問です
3水準系直交表データの解析
L_N(3^((N-1)/2))直交表で考えます。

不完備ブロック計画
不完備ブロック計画
釣合い型ブロック計画(BIBD)

不完備の意味とは、1つのブロックの大きさkが、全体の処理数aよりも小さいため、1つのブロックにすべての処理を入れきることができないことをいいます。

公式であるar=bk=Nを示します。

公式であるr(k-1)=λ(a-1)も示します。ここでも、「ある特定の処理 A_i と、同じブロックで同居している『相方の席数』」 を2通りの方法で数え上げます。

難しいので具体例で考えます。




しかしこれらの2つの公式はBIBDが存在するための必要条件であり、十分条件ではありません。つまり「5つのパラメータが上の2つの等式を満たしていれば、いつでも不完備ブロック計画が作れる」というのは間違いです。
BIBD実験の例
(a,b,r,k,λ)=(6,10,5,3,2)のBIBDを利用した実験を考えます。

「お腹いっぱいになって全員分(6種類)を食べ比べられない検査員たちのデータから、どうやって『不公平なし』で6種類のビスケットの本当の実力を順位づけするか?」という、不完備ブロック計画(BIBD)が最も威力を発揮する具体例です。




このλ=2が分かりづらいので更に深く見てみます。


それではこの例の5つのパラメータの公式チェックをしておきます。

BIBDの分散分析
構造モデルと平方和の計算





平方和の計算
「データが虫食い(不完備)のせいで、単純な引き算をするとデータに不公平(バイアス)が生じてしまう。だから、『検査員の甘口・辛口の平均値』を使って点数をきれいに補正(調整)した平方和を作ります」というイメージの内容を実施します。






総平方和=処理平方和+ブロック平方和+誤差平方和

効率係数eの出し方が難しいので補強します。

分散分析表






解析例と処理済み処理平均






BIBDの構築




イメージが湧きにくいので更に深めます。



それでは別の構築法を考えます。


こちらも複雑なので更に深めます。






それではまとめです。

応答曲面の解析法
ここからの内容は掲載されている和書が少ないので代表的な名著である『実験計画法(方法編)』をベースに理論を追っていきます。

応答曲面法
概要
応答曲面法とは一言でいうと、「いくつかの条件(因子)を変化させたときに、製品の品質(応答)がどのように変化するかを数式(曲面)で表し、最適な条件を見つけ出す手法」です。通常の分散分析(ANOVA)では、例えば「温度を 1100℃、1150℃、1200℃ にしたとき、どれが一番良いか」という点(水準)の比較しかできません。しかし、本当に一番良い条件が「1175℃」のような実験していない間にあるかもしれません。 応答曲面法では、因子を「連続的な量」として扱い、実験データを元に関数(グラフにすると曲面)を推定するため、実験していない中間の最適なポイントを予測・特定できるのが最大のメリットです。
数学的なモデルは応答(y)と因子(x_1, x_2, …, x_p)の関係を数式で表します。一般的には以下の2つのモデルが使われます。

具体例とし次のようなデータがあります。


この分野のゴールについて考えます。このデータの難しい(そして面白い)ところは、「すべての条件(y_1 〜 y_4)を同時に満足させる x_1, x_2, x_3 の組み合わせを見つけなければならない」という点です(多目的最適化)。 ある条件を上げると摩耗特性は良くなるが、硬さが範囲外になってしまう、といったトレードオフがよく起こります。応答曲面法では、それぞれの y について2次モデルの数式を推定し、それらを重ね合わせたり、満足度関数(Desirability Function)などの手法を用いたりして、「すべてをバランスよく満たす最適解(ベストなレシピ)」を導き出します。
実験データに対する最小2乗法の適用
最小2乗法(回帰分析)という同じ計算手法を使うにしても、「そのデータをどうやって集めたか」によって、結果の解釈や、その後のアクション(制御や最適化)に天と地ほどの差が出るという警告を鳴らしています。




変数の基準化
「『反応時間(分)』や『温度(℉)』といった単位や桁数がバラバラな実際の数値を、-1 や 0、+1 という共通のシンプルな数字に変換して計算しよう」というお話です。





最急上昇法による逐次実験
概要
応答曲面法の実践において最もエキサイティングなプロセスである「最急上昇法による逐次実験(Method of Steepest Ascent)」を考えます。「暗闇の中で、最も傾斜が急な方向へ一歩ずつ進みながら、山の頂上(最適条件)を効率よく登っていくアプローチ」について説明しています。





応答曲面の推定と等高線表示
数式(1次モデルや2次モデル)のままだとイメージしにくい「応答の山の形」が、等高線にすることでどう見える化されるのか考えます。






移動方向の推定








単応答曲面の解析
停留点
「単応答曲面の解析」に入り、応答曲面法のゴールとも言える「山頂(最適点)の座標をピンポイントで弾き出す数理トリック」を考えます。これまでは「急な坂を登る(最急上昇法)」というステップ(逐次実験)を繰り返してきましたが、山頂の近くにたどり着いた後は、2次モデル(放物面などの曲面)を当てはめて、一気に山のてっぺんの座標を計算します。



数学(行列微分)の世界には、「スカラー関数を『縦ベクトル』で微分すると、結果も『縦ベクトル』になる」という一般的な約束事(分子レイアウト:Numerator layout)があります。そのため微分するベクトルに転置がかかっているのです。


応答の特徴づけ






多応答の最適化
多応答の最適化とは
実験計画法や品質管理(QC)における「多応答の最適化(同時最適化)」について解説しています。




望ましさ関数による多応答の最適化
先ほどのトレードオフ(多応答の最適化問題)を解決するための強力なアプローチである「望ましさ関数(満足度関数、Desirability Function)」の具体的な数式と仕組みについて考えます。





転換量・活性度データの解析例







タイヤ製造データの解析
これまでの「転換量・活性度」の例(2応答)に比べて、今回の「タイヤ製造データ」は応答(出力)の数が4つ(y_1, y_2, y_3, y_4)に倍増しており、実務における難易度が跳ね上がったケースを扱っています。





制約つき最適化アプローチ
これまで見てきた「望ましさ関数(満足度関数)」は、複数の目的のバランスを掛け算(幾何平均)で1つにまとめるアプローチでした。 それに対して、今回の「制約つき最適化アプローチ」は、「守るべき境界線(制約)」と「本当に達成したい本命の目的(コストなど)」を明確に切り分ける、より現実のビジネスやエンジニアリングの感覚に直結した手法です。






制約つき最適化の例






制約つき最適化の最大のメリットは、単にベストな条件を教えてくれるだけでなく、「今、どの品質特性(壁)が、製品全体のパフォーマンス(収率やコスト)の足を引っ張っているボトルネックなのか」を完全に可視化してくれる点にあります。データから次の設備投資や開発のヒントをロジカルに導き出せる、非常に強力な実務ツールです。
平均とばらつきの同時最適化
ここまでの話は、基本的に「製品の特性(平均値)を狙い通りにする」というアプローチでした。しかし、このセクションからは、日本の品質管理(QC)で最も重要視される「製品のばらつき(標準偏差)そのものを最小化して、どこで作っても同じ品質にする(ロバスト設計)」という思想、いわゆる「タグチメソッド」との融合が始まります。



まとめ





応答曲面推定のための計画
応答曲面計画に対する要請





複合計画
概要







2水準要因計画の構成








軸上点の設定









実際問題への適用



| 因子数 p | 推定すべき母数の数 | 複合計画の実験回数(中心点除く) | 3水準計画の実験回数 (3p) |
| 2 | 6個 | 8回 | 9回 |
| 3 | 10個 | 14回 | 27回 |
| 4 | 15個 | 24回 | 81回 |
| 5 | 21個 | 26回(1/2実施) | 243回 |
| 8 | 45個 | 80回(1/4実施) | 6,561回 |




Box and Behnken計画










まとめ





最適計画
最適計画とは
概要






最適計画の発展と最適性の基準






D-最適計画
D-最適性とは








数値例








G-最適計画








D-最適計画とG-最適計画のまとめです。


最適計画の適用






まとめ




以上で統計検定1級合格へ向けた実験計画法の学習を終えます。