統計検定1級に合格した方がほぼ確実に持っている参考書をご存知ですか?それは久保川先生の『現代数理統計学の基礎』です。本書は次の2つの点から非常に有用な参考書として注目されています。
体系立った解説
高品質な例題と問題
本書は統計検定1級の補助教材として統計検定のHPでも紹介されているほどの名著です。そして2025年現在、統計数理の問題が難化中です。そのため本書の白本の演習問題が解ける状態は大事になってきます。
似た本で竹村先生の『新装改訂版 現代数理統計学』もありますよね。久保川先生の本とどのように違うのですか?
久保川先生の『現代数理統計学の基礎』は統計検定1級の統計数理の問題にほとんどリンクしており、本試験の問題と似た品質の問題がたくさん載っております。竹村先生の『新装改訂版 現代数理統計学』は統計検定1級の標準(か典型問題未満の)レベルを超える内容まで掲載されている場面が多々あります。難易度で考えると久保川本<竹村本≒統計検定1級(統計数理)<統計検定1級(統計応用)です。
実際に統計検定1級がどのくらい難しいのかは次のツイートをご覧ください。数学検定1級と異なりプロの集団が受験する数学の資格試験の難易度となり、合格率が統計数理と統計応用ともに20%程度となりますので、極めて難しい試験です。
このような難易度の統計検定1級に久保川本『現代数理統計学の基礎』のみを用いて統計応用まで突破した猛者もおられます。少なくとも統計数理の合格ラインは『現代数理統計学の基礎』をしっかりと自力で解けるようになれば合格の可能性が出てくると断言しても良さそうな完成度(難易度)となっております。
『現代数理統計学の基礎』の各章は問題数と難易度が大きく異なります。学習した結果、どのような難易度となっているかは次のツイートをご覧ください。
第1章が最も簡単ではないのが驚きです。第7章が難しいと分かりましたので意識して取り組んでいきます。
それでは『現代数理統計学の基礎』の各章の内容を追っていきます。下記に章ごとの記事一覧を載せましたのでご活用ください。
現代数理統計学の基礎の第1章『確率』→こちら
現代数理統計学の基礎の第2章『確率分布と期待値』→こちら
現代数理統計学の基礎の第3章『代表的な確率分布』→こちら
現代数理統計学の基礎の第4章『多次元確率変数の分布』→こちら
現代数理統計学の基礎の第5章『標本分布とその近似』→こちら
現代数理統計学の基礎の第6章『統計的推定』→こちら
現代数理統計学の基礎の第7章『統計的仮説検定』→こちら
現代数理統計学の基礎の第8章『統計的区間推定』→こちら
現代数理統計学の基礎の第1章『確率』
対象差、条件付き確率の公式の一般化、ボンフェロニーの不等式などすぐに解法が思い浮かばない方は要チェックです。
現代数理統計学の基礎の第2章『確率分布と期待値』
標本空間の意味、サンクトペテルブルクのパラドックス、ロピタルの定理の利用箇所、分布関数の証明、バイアス・バリアンス分解の意味、高次モーメントの存在定理、しっぽ確率に関する定理、階乗モーメント、マクローリン展開と項別微分、変数変換で1対1でない場合の対処法、確率的に大きいとは?、イエンゼンの不等式を用いるなどなど数多くのトリッキーな問題に触れることができます。
現代数理統計学の基礎の第3章『代表的な確率分布』
確率母関数を用いる利点、二項定理の証明、超幾何分布と二項分布の関係、モーメント母関数とランダウの記号、CLTとランダウの記号、パレート分布、ロジスティック分布、カイ2乗分布を用いて標準正規分布の高次モーメントを求める、確率密度関数における絶対値の処理、カイ2乗分布の期待値に関する漸化式、離散分布と連続分布の間の関係式を積分漸化式から導く、平均余寿命関数、ジニ係数など本書でのみ学習できる問題が多々見受けられる章です。
現代数理統計学の基礎の第4章『多次元確率変数の分布』
階層モデル、全分散の公式、ガンマ・ポアソン分布と負の二項分布、ボックス・ミュラー変換、期待値におけるコーシー・シュワルツの不等式、ベルヌーイ分布と特殊な変数変換、二変量正規分布における独立と無相関の同値証明、ガウス積分、多変量のモーメント母関数、離散分布と連続分布の同時分布の求め方、独立性の証明、条件付き共分散、ディリクレ分布の特殊な置換、多変量正規分布のモーメント母関数の算出など本格派な問題が多数あります。
現代数理統計学の基礎の第5章『標本分布とその近似』
分散安定化変換、t分布を混合分布から導出、ベータ関数の存在条件、定義関数の不等式への利用、大数の法則、スラツキーの定理、漸近分布、順序統計量とハザード関数の関係、指数分布が絡む問題など統計検定1級で狙われそうな問題が多数あります。
現代数理統計学の基礎の第6章『統計的推定』
オッズとロジットの最尤推定量、指数分布族、中央値の分散、期待値計算におけるスコア関数の期待値0の利用、バイアス・バリアンス分解、多項分布における最尤推定の注意、漸近分布と中心極限定理、モーメント推定量の使い方など収束関連の内容の難問が最後の方に待ち構えている構成です。
現代数理統計学の基礎の第7章『統計的仮説検定』
複合仮説の場合の尤度比検定の求め方、検定のサイズについての考察、
現代数理統計学の基礎の第8章『統計的区間推定』
現代数理統計学の基礎の第1章『確率』→こちら
現代数理統計学の基礎の第2章『確率分布と期待値』→こちら
現代数理統計学の基礎の第3章『代表的な確率分布』→こちら
現代数理統計学の基礎の第4章『多次元確率変数の分布』→こちら
現代数理統計学の基礎の第5章『標本分布とその近似』→こちら
現代数理統計学の基礎の第6章『統計的推定』→こちら
現代数理統計学の基礎の第7章『統計的仮説検定』→こちら
現代数理統計学の基礎の第8章『統計的区間推定』→こちら
本記事の内容が難しい場合はワンランク下の久保川先生の演習書『データ解析のための数理統計入門』についての記事をご覧ください。








