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数理統計学(黒木学)の第10章「統計的仮設検定の考え方」の解説と解答

統計検定1級の統計数理対策として、久保川先生の白本と青本を勉強してきました。

しかし近年の統計検定1級では初見色が強い問題傾向が見られます。そのため合格者の方々から支持がある黒木先生の『数理統計学』をしっかりと学んでいきたいと思います。

2つの誤り

統計的仮設検定とは、ある与えられた仮説に対して、それが正しいかどうかをデータ・セットを用いて判断する統計手法の一つです。背理法のアイデアをもとにして、「その仮説が正しいければ仮説を検定のに用いる検定統計量が、おかしな値をとることはない」という論理に基づき、統計量の値からその仮説が誤っていることを積極的に主張することです。

例10.1:予知能力

占い師に予知能力があるかを調べるために実力が互角なサッカーチームa,bの試合の勝ち負けを予想させたところ、n回の試合の中でX回予想を的中させました。ただし引き分けはありません。このことは的中率θがΘ=[0,1]で定義されることに注目して、

(1)ΘをΘ_0=[0,1/2]とΘ_1=(1/2.1]に分割し、
(2)Xに基づいてθ∈Θ_0かθ∈Θ_1かを判断する

という手続きを取ることに対応しています。

一般的な流れはn個の確率変数をある確率分布からの無作為標本として、パラメータ空間Θを分割します。その際に帰無仮説や対立仮説が単純化説か複合仮説かを考えます。すなわち以上の準備をした上で、統計的仮説検定問題は、パラメータ空間Θを2つに分割し、帰無仮説:θ∈Θ_0か対立仮説:θ∈Θ_1かを選択させる問題のことです。

上図において横軸の値がa,b,cなら、それぞれ、帰無仮説、対立仮説、判断を保留したいと考えます。しかし統計的仮説検定では判断を保留することは不可とし次のように考えます。

標本空間Ω(あるいは密度関数の定義域)の中に集合Cを定めます。その上でXを観測しそれがCに属するならば対立仮説を支持し、そうでなければ帰無仮説を支持します。このことは指示関数ψ(x)を用いて表現できます。

仮説の非対称性

仮設検定の非対称性とは、帰無仮説が誤っていることは積極的に主張できるが、その帰無仮説が正しいことは積極的に主張できないという問題です。

例10.2:占い師

占い師の予測能力を証明するには

(1)占い師には予測能力があるという仮説を支持する
(2)占い師には予測能力はないという仮説を棄却する

の2通りの方法がありますが、統計科学では後者を採用します。

例10.3:計算アルゴリズム

あるアルゴリズムがありそれに従って数値が出力されるとします。この仕組みを知らない状態で実行すると、最初の出力(出力番号1)について出力値は1で次(出力番号2)の出力値が2であったと仮定します。これによって、

帰無仮説①:出力値=出力番号

を仮定します。しかしこの事実と合致する帰無仮説は数多く存在し、

帰無仮説②:出力値=i+(i-1)(i-2)

としても矛盾しません。3番目(出力番号3)の出力値を考えます。①に従うなら3のはずですが、②に従うなら5となり、①のルールからは外れることになります。

なるほど。帰無仮説を積極的に正しい!と言えない理由が分かりました!

ネイマン・ピアソンの補題

ここまででネイマン・ピアソンの補題を学習するための準備が整いました。

例10.4:一様最強力検定

例10.5:単調尤度比

仮設検定問題の定式化

カール・ルービン定理

tはTの実現値という意味ですが、おそらくTの単調尤度比であるならば、の誤記だと思われます。

例10.6:正規分布における一様最強力検定

不偏検定

例10.7:検出力曲線

不偏検定は検定として当たり前の基準を主張していることになります。つまりあべこべな検定を排除します!と言っている感じです。

例10.8:不偏検定

演習問題

問題10.1:一様最強力不偏検定の存在

日本語表記英語名称略称(頭文字)
最強力検定Most Powerful testMP 検定
一様最強力検定Uniformly Most Powerful testUMP 検定
一様最強力不偏検定Uniformly Most Powerful Unbiased testUMPU 検定

どんどん難易度が高くなっていく章でした。

お読みくださった皆様もお疲れさまでした!

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志田龍太郎

東京大学修士→30代セミFIRE元数学教諭(麻布高など指導)/アクチュアリー数学,統計検定1級(2026年に再挑戦)/数検1級→高3・漢検1級→教諭時代に合格/ブログ+SNS運営/AmazonAssociates連携

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