統計検定1級の統計数理対策として、久保川先生の白本と青本を勉強してきました。
しかし近年の統計検定1級では初見色が強い問題傾向が見られます。そのため合格者の方々から支持がある黒木先生の『数理統計学』をしっかりと学んでいきたいと思います。
事象
事象を標本空間の部分集合と定義します。標本空間Ωに含まれる様子を観測値、根元事象、実現値、単一事象、標本点などといいます。A\BをAとBの差事象といいます。

覚え方のコツは後者から覚えることです。共通部分と和集合を×と+に置き換えれば馴染みのある式になります。前者は(通常の四則演算では起きないですが)×と+を反転させたものになっています。
「外にいるやつを中に配って、中にいたやつを真ん中に弾き出す!」とリズムで覚えてしまうと、絶対に間違えなくなりますよ!
FがΩ上の完全加法族とは次の3つを満たすときです。

数学的な数式が並んでいるので難しく見えますが、直感的な意味は「確率を計算するときに、『そんな事象(イベント)の確率は計算できません!』というエラーが絶対に起きないようにするための、盤石なルール設定」です。(ⅰ)がないと「サイコロを振って1〜6のどれかが出る確率を教えて」と言われたときに、「すいません、その質問(集合)は確率計算の対象外です」と言われてしまうようなガバガバなシステムになってしまいます。(ⅱ)がないと「偶数の目 2, 4, 6 が出る確率」が計算できるのであれば、その裏返しである「奇数の目 1, 3, 5 が出る確率」も自動的に計算できなければ困ります。 これを数式で表現したのが「A があるなら、相方の A^c もセットで入れておけ」という命令です。(ⅲ)は「別々のイベントを『または』で繋げて作った新しいイベントも、ちゃんと確率が計算できること」を保証しています。
例2.2:完全加法族の例

ただし本書ではこれ以降は完全加法族などの内容は必要な時以外は出てこないと明言されています。
確率
確率、確率分布、確率測度とは、ΩとΩ上の完全加法族Fに対して定義された実数値関数Pr(・)で次を満たすものです。

また次の命題を全確率の公式といいます。

この公式から加法定理が導かれます。
条件付き確率とベイズの定理
例2.4:無闇に公式に当てはめようとすると混乱する例

素直に分母の数が狭まっていると考えれば答えが出ますが公式を適用しようと頑張ったものが下記になります。結構混乱します。


連鎖公式はA_1が起こって、そのもとでA_2が起こる確率、それまでを仮定してA_3が起きる確率、…を掛け合わせて言ったものがn個の同時分布になっているという直観的にもわかりやすい公式です。

これを証明したのが下記になります。

尤度については比例を考えれば理解しやすいです。事後確率∝尤度×事前確率です。

条件付き独立は次の通りです。
事象の独立性



例2.8:シンプソンのパラドックス
全体で見ると性別と合格率は従属しているが、専攻ごとに見ると性別と合格率は独立であるようなことを指します。
演習問題
問題2.1:ブールの不等式とボンフェローニの不等式

(2)で帰納法を使わない方法として(1)の各AをAの補集合として適用したものが(2)と同値です
問題2.2:独立性と補集合

ここで(2.33)を証明します。

問題2.3:2人の子供問題

全体では男男、男女、女男、女女が考えられるので求める確率は、(1/4)/(3/4)=1/3である。
問題2.4:オッズ比(シンプソンのパラドックス)

(2)でCとCの補集合である結論が出ているから全体でもその結論が出るだろうという推測ができますが、それがOKなのはBとCが独立であるためシンプソンのパラドックスが起きないだけで、もしも従属の場合はシンプソンのパラドックスが起きる可能性があります。
本問の重要な点としてオッズは体調増加関数であるという事実です。今回の証明でも利用しています。


